薬剤師さん、基本的なことを聞いてもいいですか?
もちろん、どうしましたか?
眼圧って、涙が多すぎて発症するのでしょうか?
それは間違った解釈ですね。
眼圧は「房水」が関与しているんですよ。
房水?
それでは今日は眼圧に影響を与える房水と、薬が房水に与える効果を見ていきましょう。
はい、よろしくお願いします!
眼圧を下げるとは?
眼圧を理解する上でのポイントは房水です。
というのも、房水の産生と、排出のバランスが維持されることにより、眼圧はコントロールされています。
房水とは、角膜と水晶体の間を満たしている透明な液体で、眼球を球体に保つために眼球内の眼圧調整を行ったり、血管がない組織に栄養を与える役割を担っており、毛様体で産生され眼内を循環後、隅角を経過し眼外へ排出されます。
※隅角からの流出経路は2経路存在し、繊維柱帯流出路(9割を占める主経路)と、ぶどう膜強膜流出路(1割を占める副経路)と呼ばれています。
眼圧を降下させるためには、房水の産生抑制と排出促進が重要となります。
緑内障治療薬は、眼圧下降効果を有する、すなわち、以下1~3のいづれかに関与する作用機序となっているのです。
- 房水の産生抑制
- 房水の排出促進
- 房水の産生抑制・排出促進の両者
緑内障治療薬は、房水の産生と排出のバランスを調整する
房水の産生と、排出のバランスはどのように調整されているのでしょうか。
背景には以下に示す、眼内の毛様体、隅角、繊維柱帯付近に分布する自律神経や、各種酵素及びホルモン様物質などの働きが関与しています。
ここで確認したいのが、緑内障の薬=眼圧を下げる薬ということです。
緑内障治療のために、自律神経や、各種酵素及びホルモン様物質などを介して、眼圧降下を期待した薬剤が様々開発されました。
以下のように、薬剤の種類は多岐にわたり、現在の治療においては個々の患者の病態、経過によって使い分けされています。
なお、緑内障治療薬は、規定以上の使用回数での使用をすると、眼圧降下効果は増強せず、副作用が増すため注意が必要です。
参考文献
庄司 純 他 点眼薬クリニカルブック 2020,131-134
岡庭 豊 他 薬がみえる vol.2 2016,374-377
伊豆津 宏二 他 今日の治療薬 2024.1067-1078