緑内障治療をしている患者さんが
「通常のラタノプロスト点眼液→ラタノプロストPF」への切り替えをしていました。
防腐剤を使用しない治療へシフト変更したんですね。
防腐剤フリーの製剤が緑内障治療薬にも多いのはなんででしょう?
実は緑内障治療をする中で、角膜上皮障害が確認される事例が少なくないんです。
角膜上皮障害ですか?
それでは今日は、防腐剤フリー緑内障治療薬の使用理由について学んでいきましょう。
はい、よろしくお願いします!
薬剤毒性角膜症とは?
緑内障治療薬ではしばしば角膜上皮障害が見られ,薬剤毒性角膜症として診断されます。
角膜上皮障害にはβ遮断薬、PG関連薬などの薬剤に加えて、防腐剤の塩化ベンザルコニウムが影響している事が報告されています。
角膜上皮障害が見られた際の治療は、原因となった薬剤を中止し、人口涙液、ヒアルロン酸ナトリウム点眼および眼軟膏点入などを行います。原因となった点眼中止が望ましいですが、点眼中止が難しい場合は1剤まで減らして様子を見ることもあります。
その後の治療の際は、防腐剤無添加の1回使い切り点眼(タプロスミニ® エイベリスミニ® コソプトミニ®)や、防腐剤フリーボトル製剤(チモロールPF ラタノプロストPF)を選択されます。
※1回使い切り点眼にはアイオピジンUD®も存在しますが、レーザー手術後の一時的な眼圧上昇予防目的のみ使用されます。
角膜上皮障害の副作用がある緑内障治療薬
上記に記したように、緑内障治療薬の薬剤そのものが局所的副作用として角膜上皮障害を引き起こすことが知られています。
緑内障治療薬全ての薬が角膜障害があるのでしょうか?
添付文書で角膜上皮障害が副作用に記載があるかを調べ、まとめてみました。
そこから見えてきたのは、やはり防腐剤フリー製剤が製造されている成分は、角膜障害が比較的高い薬剤のようです。
参考文献
庄司 純 他 点眼薬クリニカルブック 2020.101
谷戸正樹 眼科薬剤処方 2022.46
黒山 政一 大谷 道輝 違いがわかる!同種・同効薬 2015 , 234-235
伊豆津 宏二 他 今日の治療薬2004.1079
各種添付文書