プロスタグランジン代謝物から作られた製剤には
プロスト系とプロストン系がありますが、プロストン系は1日2回なのはなぜなのでしょう?
もともと同じPF受容体刺激薬だと分類されていましたが、
最近、プロストン系は別の機序の薬であることがわかったんです。
別の機序ですか?
それでは、今日はイオンチャネル開口薬について学んでいきましょう。
はい、よろしくお願いします!
概要
イソプロピルウノプロストンは、プロスタグランジン代謝物を元に作られた最初の製剤です。構造の特徴によりプロストン系に属します。
開発当初は他のPG関連薬と同じく、FP受容体を介した眼圧降下効果を示すと考えられてきました。
しかしながら、真の作用機序は繊維柱帯流出路からの房水流出促進作用を持つ「イオンチャネル開口薬」であることが、最近明らかになってきました。
プロストン系であるレスキュラ®は、プロスト系の1日1回とは異なり1日2回の製剤です。
また、他PG関連薬のプロスト系と比べて眼圧降下効果は弱いと報告されています。
同様に、PG関連薬でも有名なまつ毛が濃くなる、色素沈着などの局所的副作用もプロスト系に比べて少ないのが特徴です。
繊維柱帯流出路への作用
BKチャネル開口のメカニズムの前に、繊維柱帯細胞の房水流出反応への働きを見ていきましょう。
繊維柱帯細胞に刺激が来ると脱分極が起こり、電位依存性カルシウムイオンチャネルが開口します。その後繊維柱帯細胞同士の間隔が狭まり、結果、繊維柱帯流出路からの房水流出を抑制します。
本題のBKチャネル開口薬は、以下の反応により、繊維柱帯細胞の働きを抑える作用を示します。
- BKチャネルを開口する
- 細胞内からK⁺が流出
- 過分極が生じる
- 繊維柱帯細胞は刺激に反応しなくなる
その他、眼底血管拡張作用による血流増量作用や、視神経細胞のアポトーシス阻害による視神経保護作用もあることが知られています。
参考文献
庄司 純 他 点眼薬クリニカルブック 2020,143-146
岡庭 豊 他 薬がみえる vol.2 2023,462
黒山 政一 大谷 道輝 違いがわかる!同種・同効薬 2015 , 237-238