緑内障治療薬 ~PG(プロスタグランジン)関連薬~

Ana
Ana

PG関連薬の色素沈着をとても女性が気にされていました。

薬剤師
薬剤師

予防できるとはいえ、外見に影響を与える薬に抵抗感を感じる方はいますね。

Ana
Ana

あえてこの薬が選ばれる理由ってあるんでしょうか。

薬剤師
薬剤師

実は眼圧降下が最も強い薬なので、第一選択になりやすいんですよ。

Ana
Ana

そのような特徴もあったんですね。

薬剤師
薬剤師

それでは今日は、PG関連薬について学んでいきましょう。

Ana
Ana

はい、よろしくお願いします!


作用機序

 PG(プロスタグランジン)関連薬は、現在の使用可能な緑内障薬で、最も優れた降圧効果を示す薬剤です。

1日1回の点眼で、日中・夜間を問わず24時間以上眼圧降下効果が持続し、全身副作用が少ないことで評価されています。

しかし、後述する局所的副作用には注意が必要です。

 PG関連薬はPG代謝物を元に作られ、PGF2αを基本骨格にもつ製剤であり、プロストン系とプロスト系に分類されます。

うちプロスト系の方が眼圧作用が強いことが知られており、局所的な副作用の強さにも相関しています。

現在以下、5種類が治療薬として使用可能な薬剤です。

 

 PG関連薬の作用機序は、房水流出促進薬として眼圧降下作用を示します。

「プロスト系」は主に副経路である、ぶどう膜胸膜流出路にて、FP受容体を介して房水流出促進させます。

一方、「プロストン系」のイソプロピルウノプロストンは、PG関連薬として1番目に開発された薬ではあるもの、FP受容体との親和性は低く、主経路の繊維柱帯細胞におけるBKチャネル(※)開口によって房水流出促進作用を示します。

イソプロピルウノプロストンは他にも、眼底血管拡張作用による血流増量作用、視神経細胞のアポトーシス阻害による視神経保護作用も持ち合わせていると言われています。

※ BKチャネル = 大コンダクタンスカルシウム依存性カリウムチャネル


PG関連薬の特徴

適切な薬物治療を行うために、以下ポイントをおさえる必要があります。

ポイント
  • 効果には個人差がある
  • 特徴的な局所副作用があるこによかったところ

効果の個人差

 強力な眼圧降下作用を示しますが、7~10%前後に眼圧降下不十分な症例がみられます。

また、PG関連薬の中でも効果能ある薬剤と、効果がない薬剤があるなど、効果の個人差の存在が報告されています。

そして、点眼開始後3か月を経てから眼圧降下効果がみられる「後効き」が確認されることもある薬剤です。


特徴的な局所副作用

 全身副作用は少ないPG関連薬ですが、局所的副作用の頻度は多いことで有名です。

結膜充血、まつ毛伸長・増加、眼瞼色素沈着、上眼瞼溝深化など様々な症状が現れることがあります。

結膜充血は点眼後すぐに症状が出ますが、一般的に持続しない症状です。

また、まつ毛伸長・増加、眼瞼色素沈着、上眼瞼溝深化などは、点眼開始から数か月長期使用した患者に所見がみられますが、点眼中止により寛解可能と言われています。

点眼後の洗顔など、副作用予防が重要となります。


点眼忘れの際は?

 点眼間隔を十分に空けないことで、薬の濃度が上がり、治療効果に影響することがあると報告されています。

点眼タイミングを逃した場合は、慌てて気づいた時間に点眼せず、次のタイミングの時間まで待つことが推奨されています。

参考文献

庄司 純 他 点眼薬クリニカルブック 2020,143-147,155

岡庭 豊 他 薬がみえる vol.2 2016,378

黒山 政一  大谷 道輝 違いがわかる!同種・同効薬 2015 , 236-238

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