緑内障の人にはβ遮断薬が多く処方されている印象です。
そうですね。
喘息既往の方は該当しませんが、緑内障治療の第一選択の1つとして用いられるお薬ですね。
種類が豊富で違いがよくわかりません。
1つ1つに特徴があるんですよ。
それでは今日は、β遮断薬について学んでいきましょう。
はい、よろしくお願いします!
作用機序
眼の毛様体無色素上皮細胞には眼圧調整に関与するβ受容体(β₂優位)が存在し、遮断することにより房水産生が抑制されます。
β遮断薬は確実に眼圧を下降させ、さらに、縮瞳や結膜充血などの局所作用が比較的少ないことで評価されています。
β遮断薬は数種類成分が存在し、以下の表のように各々に特徴があります。
特徴
適切な薬物治療を行うために、以下ポイントをおさえる必要があります。
- 副作用~使用禁忌患者に注意~
- 持続型点眼薬が豊富
- 効果に日内変動あり
- 耐性発現
副作用
β遮断薬の副作用には、角膜上皮障害など局所的な副作用と、心血管系・呼吸器系などにおける全身的なものがあります。
点眼薬は投与量は内服薬に比べて、1/100と圧倒的に少ないですが、β受容体の占有率は内服薬と同程度と考えられています。
そのため、β遮断薬は以下の表に挙げた禁忌患者の有無や、全身状態を確認する必要があります。
※「カルテオロール」はβ受容体と拮抗するα₂受容体刺激作用も兼ね備えているため、全身副作用が軽減すると言われています。(ISA作用)
※「ベタキソール塩酸塩」はβ₁受容体を選択的に遮断します。
眼圧調整にはβ₂受容体が有意なため、他剤と比べ眼圧降下作用は低いです。
β₁受容体を選択的に遮断するため、喘息患者には慎重投与はあるもの、禁忌対象外となるのが特徴です。
しかし、β遮断薬の中で唯一、妊婦への投与は禁忌なので注意が必要です。
持続型点眼薬が豊富
ゲル化製剤の開発により「持続性β遮断薬」が登場し、1日1回の点眼が可能となりました。
1日2回の製剤と同様の効果が期待できるもの、全身性の副作用(血圧/脈拍数など)に有意な差はないとされています。
また、点眼後数分間は霧視や、べたつき感があり、他剤と併用する場合は10分間の間隔をあけて最後に点眼するよう指導する必要があります。
効果に日内変動あり
生理的に日中は交感神経の活動が高いため房水産生が増加し、逆に夜間は交感神経の活動が低下するため房水産生も低下します。
すなわち、β遮断薬による眼圧降下は生理的に房水産生の少ない夜間よりも、日中のほうが大きくなります。
そのため、持続性β遮断薬を点眼する推奨時間は朝とされています。
耐性発現
長期間にわたる使用により、3~37%に眼圧降下効果の減弱が認められる報告があります。
効果回復には、60日以上の休薬や、ジピベフリン(アドレナリン作動薬)の使用が良いとされています。
参考文献
庄司 純 他 点眼薬クリニカルブック 2020,136-139
岡庭 豊 他 薬がみえる vol.2 2016,379
黒山 政一 大谷 道輝 違いがわかる!同種・同効薬 2015 , 233-236