坐剤を分割するときの注意点(切り方・残りの扱い)

Ana
Ana

小児では坐剤が分割使用するように指示されることが多い印象です。

分割の際のポイントや、注意点はありますか?

薬剤師
薬剤師

坐剤は、先端がとがり、尾部側がやや太いという特徴的な形をしています。

この形状を踏まえ、1/2個に分割する際は、斜めに切る方法が推奨されているんですよ。

Ana
Ana

推奨されていない横切りや縦切りでは、どのような問題があるのでしょうか?

また、分割後に使わなかった残りの坐剤は、どのように扱えばよいのでしょうか?

薬剤師
薬剤師

確認しておきたいポイントが見えてきましたね。

それでは、一緒に坐剤の分割について学んで行きましょう。

Ana
Ana

はい、よろしくお願いします!


はじめに

坐剤は、成人では1回1個を投与することが一般的です。

一方、小児では体重に応じて投与量を調整するため、「1回1/2個」「1回2/3個」のように、坐剤を分割して使うよう指示されることがあります。

しかし、坐剤は錠剤のように均等に分割するための割線が設けられているわけではありません。

切り方や切る位置によっては、分割後の形状や薬物量に影響する可能性があります。

この記事では、資料をもとに、分割の考え方・切り方・切る位置・残りの扱い・製品ごとの注意点を、実際の作業の流れに沿って整理しました。


1.小児で坐剤を分割することがある理由

小児では、体重に合わせて用量を決めるため、坐剤を1/2個や2/3個に分ける指示が出ることがあります。

例として、アンヒバ®坐剤の添付文書に記載されたアセトアミノフェンの用量例を以下に示します。

体重アセトアミノフェン量 (1回量)50mg製剤100mg製剤200mg製剤
5kg50〜75mg1〜1.5個0.5個—
10kg100〜150mg2〜3個1〜1.5個0.5個
20kg200〜300mg—2〜3個1〜1.5個
30kg300〜450mg——1.5〜2個

(アンヒバ®坐剤の添付文書より)

※0.5個=1/2個、1.5個=1個と1/2個です。「—」は表に値がない欄です。

体重と製剤の規格の組み合わせによって必要な個数が変わるため、1/2個のように分割が必要になる場面があることがわかります。


2.分割する前に:その製品は分割してよいか

坐剤であればどの製品でも同じように分割できるわけではありません。

切り方の前に、まず製品情報で分割の可否を確認しましょう。

例えば、ナウゼリン®坐剤の製品情報では、原則は1回1個であり、分割使用は推奨できないとされています。

理由は次のとおりです。

  • 分割した場合の体内動態・有効性・安全性が検討されていないこと
  • 製造工程上、有効成分は均一に分散していると推察されるものの、具体的な試験はないこと
  • カット位置の目安がなく、正確な量が得られない可能性があること

やむを得ず2分割する場合の方法についても、注意点が示されています。

  • 斜めに切って長さを確保するのが望ましい
  • 基剤は水溶性のマクロゴールで崩れやすいため、アルミコンテナから出さずに、鋭利な刃物で引くように切る

このように、分割に関する考え方や注意事項は製品によって異なる場合があり、注意が必要です。


3.分割に使う道具

≪使う道具≫

清潔に保たれたカッターやナイフを使う方法が、参考書籍などで紹介されています。

カッターはお湯で温めると切りやすいそうです。

≪はさみについて≫

一方、はさみについては注意をうながす資料があります。

理由として、次の2点が挙げられています。

  • 坐剤が砕けることがある
  • 固定が不安定で、けがや坐剤の落下のおそれがある

4.分割方法の基本と切断方向

≪分割時の基本≫

坐剤を分割する際は、①事前の準備、②分割位置の決定、③分割の実施、の3つの段階に分けて進めるとよいでしょう。

≪坐剤の形と分割方向≫

坐剤は、先端部がとがり、尾部側がやや太い魚雷型をしています

この形が、分割方向の考え方に関わります。

  • 1/2個を使う場合は「斜め」に切る
  • 2/3個を使う場合は「横方向」に切る

≪1/2個を使う場合:「斜め」に切る≫

中心を通るように斜めに切る方法が、複数の参考書籍などで紹介されています。

ジクロフェナクナトリウム坐剤の製品資材でも、半量を使う場合は斜めに切るよう案内されています。

斜めに切る理由として、魚雷型の坐剤では、有効成分のばらつきを抑えられることが挙げられています。

また、残りを使いやすい形状にできることを理由に挙げる資料もありますが、残りの扱いは廃棄をすすめる資料が多いため、考え方を分けて整理する必要があります(6章)。

なお、ほかの分割方法については以下のように説明されており、より斜めに分割する方法が推奨されています。

  • 横一直線に切る場合:先端側と尾部側で形状が異なるため、切断後の形や大きさに偏りが生じる可能性がある
  • 縦半分に切る場合:切断面に角ばった部分ができ、挿入時に肛門周囲を傷つける可能性がある

≪2/3個を使う場合:「横方向」に切る≫

2/3個を使う場合は、残りを再び使うことを想定しなくてよいため、横方向に切っても問題ないとされています。

※今回参照した参考文献のうち、2/3個に分割する理由を文章で説明していたのは、1冊の書籍のみでした。

一方、イラストで分割方法を示す資料もあり、確認した資料のほとんどは横方向に切る方法を示していました。

ただし、すべての製品で同じ方法が適しているとは限りません。

製品情報や施設の手順を確認してください。


5.どこで切るか:分割位置

坐剤は先端部と尾部で形状が異なるだけでなく、製品によっては尾部側に空洞がある場合もあります。

切る位置によっては、分割後の形状や薬物量に影響する可能性があるため、単純に長さだけで判断するのは難しい場合があります。

≪空洞の有無を確認する≫

参考資料には、光に透かしたり、指で状態を確認したりして、空洞の有無などを考慮する方法が紹介されています。

ただし、外観からの確認だけで薬物量を正確に判断できるとは限りません。

製品固有の情報を確認したうえで、切断方法を検討しましょう。

≪分割位置を数値で示した資料≫

参考資料では、小児領域で使用される坐剤について、1/2個または2/3個に分割する際の切断位置を、コンテナ(包装シート)の端からの距離(cm)で示した論文・書籍が紹介されています。

コンテナの端からの距離の目安

製剤1回1/2個1回2/3個
アルピニー®坐剤200mg3.00cm3.30cm
アンヒバ®坐剤小児用200mg2.65cm3.00cm

(山本佳久「調剤と情報」2024年1月号63–65 図3(田山剛崇の報告(2014))をもとに作成)

※なお、上記の数値は、坐剤を横方向に分割する場合の目安です。斜めに切断する場合、分割位置の距離をどこで測定するかについては、手元の資料では確認できていません。

このような資料は、分割位置を具体的に説明するための参考になり、保護者への服薬指導に活用する方法も考えられます。

ただし、数値は特定の製剤に関する資料に基づくものです。

ほかの製品にも一律に適用できるとは限らないため、使用する製品の情報を確認することが大切です。


6.切ったあとの扱い

≪使うのは先端側≫

分割したときは、とがった先端側だけを使い、残りは廃棄すると複数の参考書籍で紹介されています。

切った坐剤は変形しやすいため、使う直前に切り、できるだけ早く使うとされています。

≪残りは廃棄≫

中には1/2個に分割した後の残りの使用に触れた参考書もありましたが、残りは廃棄することを推奨している資料が圧倒的に多いという印象でした。

理由として、次の点が挙げられています。

  • 切断面に角ばった部分ができ、挿入時に肛門周囲を傷つける可能性がある
  • 一度開封した坐剤は清潔でないこと(保管中の細菌汚染のリスク)
  • 開封後は空気や紫外線にさらされ、変質などの劣化が起こるおそれがある
  • 子どもの誤飲などのリスクがある

もったいなく感じますが、資料ではこのように案内されています。

再使用や保管は自己判断しないようにしましょう。


7.まとめ

確認するポイント押さえておきたい内容
製品情報分割使用が推奨されていない製品もあるため
添付文書や製品情報を確認する
道具・準備清潔なカッターやナイフを使い、坐剤を安定させて
手指のけがにも注意する
切るタイミング使う直前に、包装から取り出す前に切る
切断方向1/2個は斜め、2/3個は横向きに切るのが一般的
切断位置形状や空洞の有無など、製品ごとの特徴を考慮する
使う部分先端部を使用する
残りの扱い廃棄することが好ましい

坐剤の分割は、単に必要な大きさに切ればよいというものではありません。

製品の可否・切断方法・切断位置・残りの扱いを順に確認し、使用する製品に応じて判断することが大切です。


※この記事は、医療従事者・医療系学生の方に向けて、勉強や情報整理の参考にしていただくために書いています。

特定の治療法やお薬の使用をすすめるものではありません。

制度や通知、ガイドラインなどの内容は、書いた時点の情報をもとにしています。

法令や添付文書は改訂されることがあるので、実際の現場で判断する際は、必ず最新の添付文書やガイドラインなど一次情報をご確認ください。

なお、当ブログでは正確な情報の発信に努めておりますが内容の完全性・正確性を保証するものではございません。

この記事を参考にされたことで生じた結果について、責任は負いかねますので、実際の治療方針は担当の医師・薬剤師の判断のもとで決めてください。

参考文献

Rp+ 2025冬Vol.24 No.1 松本康弘〔7〕坐剤・浣腸剤 104.105

『調剤と情報』2026年7月号 奥村俊一 コラム「坐剤の分割方法と指導のポイント」78  

『調剤と情報』2024年1月号 山本佳久「坐剤を分割するときの注意点は?」63-65(同記事で参考文献として引用されている田山剛崇「薬局」65巻,pp.58–63,2014年を含む)

臨床現場でわかる!くすりの知識 ナースが出会う14の場面、134の疑問 編集 荒木博陽 監修 五味田裕2019.76

松本康弘の極める!小児の服薬指導 松本康弘 2018,118.119

患者向け説明資材:ジクロフェナクナトリウム坐剤「日医工」 (坐剤の使い方・注意事項)2025

添付文書:アンヒバ坐剤小児用50・100・200mg(用法及び用量に関連する注意)20260

ナウゼリン | 【公式】協和キリン医療関係者向け情報サイト 協和キリンメディカルサイト

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